Cursor で複数 worktree の cspell.txt を保存時に自動ソートする
はじめに
cspell.txt に単語を少しずつ足していく運用をしていると、気づかないうちに並び順が崩れていきます。スペルチェック自体は動くので放置しがちですが、レビュー時に差分が読みづらくなり、重複語の混入にも気づきにくくなります。
そのため、単語を追加したタイミングで自動的に辞書を整列しておくと運用がかなり楽になります。今回は Cursor で cspell.txt を保存したときに sort -u を自動実行し、さらに複数 worktree にまたがって同じ設定を効かせる方法をまとめます。
cspell とは
cspell は、コードベース向けのスペルチェッカーです。コメント、識別子、Markdown などに含まれる単語を見て、スペルミスらしきものを検出してくれます。詳しくは公式の Getting Started や Configuration を見ると全体像をつかみやすいです。
設定は package.json の cspell フィールドや cspell.json 系の設定ファイルに置けます。そこでは words に単語を直接書くこともできますし、Custom Dictionaries の仕組みを使って cspell.txt のような単語リストファイルを辞書として読み込むこともできます。
つまり、package.json や cspell.json は設定の置き場です。一方で、cspell.txt はその設定から参照されるプロジェクト辞書です。多くのプロジェクトでは、ユビキタス言語のような一般的な辞書には載っていないものの正しい単語が多く登場するため、こうした追加辞書を運用したくなるでしょう。
構成のイメージは、たとえば次のようになります。
{
"name": "your-project",
"cspell": {
"version": "0.2",
"dictionaryDefinitions": [
{
"name": "project-words",
"path": "./cspell.txt",
"addWords": true
}
],
"dictionaries": ["project-words"]
}
}
# cspell.txt
productname
worktree
この例では、package.json 側に cspell の設定を書き、cspell.txt を custom dictionary として読み込んでいます。この記事のように .txt の辞書ファイルを運用する前提なら、同じ単語をさらに words にも重ねて書くより、辞書側に寄せて管理したほうが分かりやすいです。
この記事では、その中でも cspell.txt のようなテキスト辞書ファイルをすでに運用している前提で、「そのファイルを保存時に自動整列する」方法に絞って説明します。
やりたかったこと
やりたいこと自体はシンプルで、cspell.txt を保存したときに次のコマンドを自動実行したいだけです。
LC_ALL=C sort -u "${file}" -o "${file}"
このコマンドにはそれぞれ意味があります。
sort: 行をソートする-u: 重複行を取り除く-o "${file}": 結果を元のファイルに上書きするLC_ALL=C: 環境差分の少ない順序にそろえやすくする
このくらいなら単語を足したあとで毎回手動実行してもよいですが、保存時に走るようにしておくほうが圧倒的に楽です。
単一 repo なら workspace 設定でもよい
単一 repo しか触らないなら、.vscode/settings.json に保存時実行の設定を書くやり方でも十分です。repo ごとに閉じた設定なので、他プロジェクトに影響しないという利点もあります。
ただし、複数 worktree を日常的に使っていると話が変わります。
複数 worktree では user 設定のほうが便利
たとえば次のような構成で作業しているとします。
/Users/you/dev/your-project/cspell.txt
/Users/you/worktrees/your-project/feature-a/cspell.txt
/Users/you/worktrees/your-project/feature-b/cspell.txt
この場合、worktree ごとに .vscode/settings.json を持たせるより、Cursor の user 設定に一度だけルールを書いたほうが運用しやすいです。新しい worktree を切っても追加設定なしでそのまま保存時フックが効くからです。
VS Code の定番設定が Cursor ではそのまま使えないことがある
保存時に任意コマンドを走らせる方法として、VS Code 周辺では emeraldwalk.RunOnSave を使った例をよく見かけます。
しかし今回の環境では、この拡張を Cursor にそのまま導入できませんでした。VS Code Marketplace では有名な拡張でも、Cursor 側の拡張配布経路との違いで素直に入らない場合があるようです。
Cursor では pucelle.run-on-save で実現できた
最終的には pucelle.run-on-save を使うことで実現できました。設定は Cursor の user 設定、つまり ~/Library/Application Support/Cursor/User/settings.json に追加します。
{
"runOnSave.defaultRunIn": "backend",
"runOnSave.commands": [
{
"match": "[\\\\/]your-project(?:[\\\\/][^\\\\/]+)?[\\\\/]cspell\\.txt$",
"command": "LC_ALL=C sort -u \"${file}\" -o \"${file}\"",
"async": false,
"doNotDisturb": true
}
]
}
これで対象プロジェクト配下の cspell.txt を保存したときだけ、自動で sort -u が走ります。
match の意味
この設定では、match で保存時処理を適用する対象ファイルを絞り込みます。
[\\/]your-project(?:[\\/][^\\/]+)?[\\/]cspell\.txt$
この正規表現は、次の 2 パターンを想定しています。
.../your-project/cspell.txt.../your-project/<worktree-name>/cspell.txt
つまり、repo 直下の cspell.txt と、1 階層深い worktree 配下の cspell.txt の両方を拾います。
逆に、これ以上深い階層まで広く拾わないようにもしています。もし運用上さらに深い場所の cspell.txt も対象にしたいなら、正規表現はチームのディレクトリ構成に合わせて調整すればよいです。
単に cspell\\.txt$ だけでも動きますが、それだと他プロジェクトの cspell.txt にまで反応する可能性があります。保存時処理は便利な反面、どこにでも効く設定にすると後から意図しない副作用になりやすいです。
導入手順
実際の手順としては次の通りです。
- Cursor に
pucelle.run-on-saveをインストールする ~/Library/Application Support/Cursor/User/settings.jsonに設定を追加する- 必要なら
Developer: Reload Windowで再読み込みする cspell.txtに未ソートの単語を 1 つ追加して保存する- 自動で並び替われば設定完了
pre-commit フックとの住み分け
今回の設定はあくまでローカルの開発体験をよくするためのものです。チーム全体で必ず整列状態を守りたいなら、別途 pre-commit フックや lint-staged で担保するのもよいです。
実際には、次の住み分けが分かりやすいです。
- 保存時自動整列: 自分の手元で快適に保つ
- pre-commit: チーム全体で最終的に崩れないようにする
おわりに
cspell.txt のような辞書ファイルは、追加のたびに機械的に整列しておくと運用コストが大きく下がります。特に複数 worktree を使う開発スタイルでは、user 設定に寄せた保存時自動化がかなり効きます。
地味な改善ではありますが、こういう小さな自動化は辞書ファイルの保守性を確実に上げてくれます。Cursor で複数 worktree を使っているなら、一度入れておく価値は高いと思います。